宮崎駿監督の新作映画「君たちはどう生きるか」が話題になってますね。
ニュースをみた時にKindleをぽちぽちしていると漫画版が見つかったので読んでみたんですが、苦い青春を鮮明に思い出させる良著でした。
この話は主人公のコペル君が学校生活で起こった出来事に対して、叔父さんとノートを通じて対話しながら問題を解決していこうとする物語です。学校生活の中で起こることはよくある嫌がらせ(いじめ)なんですが、それに対してコペル君がどう向き合っていくかを等身大の形で描いています。
コペル君は素直でまじめな子供なのですが、ある事件をきっかけに自分の正義を具体化できないことに悩んでいきます。その悩みが自分に重なるようで悶々としました。自分も弱い善人であることを直視してしまう辛さがあります。
印象的だったのがそのノートのシーンで、話の合間合間に 叔父さんの書いたノートをコペル君が読む部分があります。そこがそのまんまノートが乗っているので、部分的には小説のような作りになっています。そのシーンがあることで、奥行きのある、学校生活だけではない人間社会を俯瞰した視点も織り混ざった内容になっています。
この仕掛けによって、世の中を俯瞰した時の仕組み、構造から実社会でリアルに起こっていることをつないで、そこで何を考え、個人がどう考えないといけないのか、を理想から行動に落とし込んでいく。そこに飾ったものや魔法はなくて、ただ淡々としたものだけが積み重なっていくところに痺れました。
世の中をよくしていくために、どんな覚悟が必要なのかを希望を持って示してくれるいい作品です。
どんな映画になるか楽しみですね。ではでは!