たけとけたと片付かない部屋

製造技術の仕事や家事・育児、趣味について書きます。

化学メーカーに勤めていて海外で製造業の仕事するってどんな感じ?

昨年一年間マレーシアで仕事をしたこともあって、周りの方から「海外で仕事をするってどんな感じですか?」と聞かれることが多くなりました。僕は製造業の技術職として海外で仕事をしましたが、カルチャーショックや異文化コミュニケーション、その中で共に働く面白さがありました。今回は「海外で働く」となったときに「どんなことが待っているのか?」に関して僕の経験談を紹介します。

どこでどんな仕事をしたか?

僕の仕事内容は下記になります。
・化学メーカー(日系)に所属
・マレーシアの系列工場で1年間、工場勤務
・仕事内容は製造部の技術支援(僕の海外研修も兼ねています)

具体的には?

 化学メーカーの製造部の技術支援ですが、僕の所属していた工場では高性能のプラスチックを原材料から化学反応にて生成し、液体状のプラスチックを粉体に生成していました。製造部に求められる技術というのは多岐に渡りますが、僕に求められていた技術は大きく4つあります。
①化学反応を制御する技術
②粉体を生成する技術
③生産のために導入している設備技術
④原材料の特性を理解して生産する技術
 僕の役割は技術支援でしたので、「現地メンバーと共に仕事をしながら、日本側が持つ技術を共有、また現地の技術との融合」となります。

現地の日本人は?

 現地には日本人スタッフも一定数いて、僕が働いているオフィスにも現地スタッフ60名程度に対して日本人2名が駐在、1名が短期駐在していました。海外工場では多いほうだと思います。

海外で仕事してみて感じたこと(仕事編)

「英語」が「現地化」している

 「海外で働く」と聞いてまず思いつくのが「言語」、特に「英語」ではないでしょうか?海外で働く・暮らした経験のない人にとってもっとも気になるところが言語の壁だと思います。かくいう僕も海外で仕事するまでは「英語でコミュニケーションをとって仕事するなんて、どうしたらうまくできるんだろう?」と不安でした。そのため英会話を受講するなどしてある程度は努力してから現地に行ってみたのですが、「あれ?何言っているか?本当にわかんないぞ・・・」もう最初は目の前が真っ暗でした。
 全くわからなかった理由というのが「英語」が「現地化」しているのでベーシックな英語を勉強していても現地ではすぐに通用しないからでした。マレーシアは英語が第二言語になっていますが、英語にマレー語の発音の癖が入っています。そのため米国でバリバリ仕事していた人も、「マレーシア人の英語は何言っているかわからない」といいます。英語は多くの国で仕事上での共通言語に採用されていますが、話し方やイントネーションもまちまちです。他の国の外国人とも仕事をしたことがありますが、本当に千差万別です。
 そういう意味では「英語をどうやって話すか」より「どうやってコミュニケーションをとるか」という姿勢が大切でした。そういうことに気づけるのは海外で働いてみる一つの醍醐味です。僕が働いている時にはPPAPとか流行りましたが、共通の話題があるのはすごく心強かったですね。
jastaway03.hatenablog.com

「文化」は話してみないとわからない

 マレーシアの人はイスラム教徒が多数を占めます。イスラム教徒というとなんだか物騒なイメージがありますが、なんてことはなく皆さんとても親切です。マレーシア人は人懐っこい人が多いので街で会う人にも向こうから話しかけられたりします。(女性の同僚はナンパされたりもしていました笑)
 もちろん1日5回のお祈りやラマダン(断食)がありますが、彼らに直接聞いてみるとカジュアルにみんなで楽しくやっていることがわかります。僕たち日本人が接待・残業を必死でやって同僚や友達に愚痴っているのと状況は同じです。笑 働き方も当然違うのでイライラしたりもしますが、腹を割って話をしていくと「そういうことだったのか」と目から鱗な情報が聞けて非常に面白かったです。

仕事がきっちり進んでいかない

 日本との差は何と言っても「きっちり仕事が進んでいかない」ことだと思います。スケジュール通りっていうのがなかなか難しい。これは一見ネガティブですが、いい面もあります。例えば日本だと(仕様決定)→(方針変更)となると実働のスタッフがヒーヒー言いながら動くことが多いです。ですがこれ、マレーシアでやると大混乱になってタダではすまないことが多いです。情報変更になったことが共有されなかったり、「なんで?」と思うスタッフが動いてくれなかったり、残業で調整してくれるなんてこともありません。おかげで平日で仕事終わらなくて、土日出勤になってしまったり夜勤をやったりとスケジュールにはかなり振り回されました。
「そんなの仕事にならないじゃないか?」と思うんですが、現地ではなんとか仕事は回っているわけです。細かく事情をみていると「決定事項は極力変更しない」「変更する時はマネージャーが動き回って対応する」等、自分で決定したことを変更する時は必ずそのケツを拭いているんですよね。またスケジュールが合わないことを理解した上で、マネージャーが無理のない計画を作る、できる約束しかしない等あります。これは部下を守る意味ではすごくいい文化でした。
 また、きっちり進まないんですが、要所を抑えてみんな仕事をしているので、重要なスケジュールは守れたりします。日本人がきっちり重箱の隅までつついてやってる意味はなんだったのか?とか日本にいると気づかないことが分かります。

現地と日本の違いのクッションになる

 そうは言っても日本側の意向は汲み取らないといけないことが多いので、現地で働く日本人は大抵板挟みにあいます。どうやって現地の人を巻き込みながら、日本側の要望も丸め込みながらやっていけるかが非常に難しいです。

残業時間は日本基準になる、なぜか

 これは本当によくないんですが、残業その他仕事時間はほとんど日本と変わらずです。現地の人が帰っても日本人だけ残ってるなんてことはざらにあります。よくないんですけど、「社畜の魂百まで」かもしれません。一方で日本に比べて海外の方が祝日が少ない傾向にあるので、このやり方で行くと日本にいるときの1.5倍ぐらい働くことになります(泣 まあ僕の場合は英語の文章が読めない、作れないで残業していました。

海外で暮らしてみて感じたこと(私生活)

ご飯はチャレンジすると楽しい

 ご飯は当然日本食が日々食べれるわけではなく、現地のものになります。なんだこれ?というようなものがたくさんありますが、食べてみると美味しい、ハマるものも少なからずあります。なのでご飯に関しては現地スタッフや日本人同士で密にコミュニケーションをとって常に新規開拓していました。食に対する意識は万国共通です。笑 見た目や食べている場所(マレーシアは外が多かった)で敬遠したくなりますが、住めば都で飛び込んでみると日本では見つからないような美味しいものに出会えたりもします。ハズレとかすごいのとかもあります。マレーシアでは経済飯という中華のバイキングが好きでした。あとナシレマというご飯にソースをかけて食べるマレー料理もなかなかよかったです。旅行だと観光客向けのところに行ってしまいがちですので、一定期間住んでみることでいろんな発見があって楽しいですよ。
 また日本人が一定数住んでいる地域では日本食も食べれます。おいしい日本食を食べに3〜4時間車を走らせて小旅行をしたりもしました。どんだけ食に飢えてるんだ。

住居はだいたいトラブルが起こる

 僕はコンドミニアムに住んでいましたが、2ヶ月に1回ぐらいなんかあります。断水したり、TVが映らなくなったり、水道代を払ってないとクレームがきたり、家の中をアリが歩き回っていたりと本当に色々ありました。今思い出すといい思い出ですが、少々のことでは動じない心構えが必要ですね笑

旅行はみるもの全てが新鮮

 海外で生活していると普段の生活も見ないものばかりですし、一歩踏み出せば見たことないものにたくさん出会えます。旅行が好きな人からすると海外で仕事することで休日がとても忙しくなります。ヨーロッパであれば移動も自由ですし、アメリカやカナダは広いし、東南アジアはLCCで格安で移動できます。旅行好きな人は怖いもの見たさで希望してみるのもいいかもしれません。

変化を楽しめる人は海外でも働ける

 海外で働くというのはやってみればその土地その土地でなんとかなるものだとは思いますが変化に適応していく覚悟は必要です。逆に言うと変化を楽しむことができれば大概のことはどうってことないです。もちろんこれは僕のケースで日系企業の海外拠点に移り住んだからという側面もありますが、やってみたらなんとかなるなあと自信にもつながります。

そういうことで、「これから海外で働かないといけなくなるかもしれない」とか「外国人と仕事するの不安だなあ」とかあるのであれば一度研修でも出張でもなんでもいいので経験する機会を作ってみると、不安を持たなくていい(むしろ不安がるところが違う)ことに気づけると思います。
 皆さんも機会があれば、文字通り世界が広がるのでチャレンジしてみてください。

ではでは!