たけとけたと片付かない部屋

製造技術の仕事や家事・育児、趣味について書きます。

マレーシアで仕事をするときに気を付けるべき「日本の慣習」とは

マレーシアで工場付きの技術系製造駐在員になるため、日々勉強しています。

その中で、日本にいるだけだと理解できない、でも海外で仕事をする上では非常に大きいギャップになってしまう「日本の慣習」を感じました。

日本の慣習って?

 海外で働いた経験のある人は多々経験があると思いますが、私が現在強く感じているのは一点、「職務内容を明確にしない」ことです。

 「職務内容を明確にしない」とは

「職務内容を明確にしない」とは、「ポジションを人事上の采配で異動できること」もありますが、それ以上に「そのポジションの人が何をする人なのか」を明確にしないところです。

例えば、設備点検の仕事をしてもらうために雇った人に、設備投資の仕事を与えたり、関係あるからという理由で製造オペレーターへの教育を担当させる、などなどです。このぐらいだといいですが、いつのまにか関係のない技術的な検討や物品購入の管理をさせられる等、けっこういろいろな仕事が来ることがあります。これは日本の大企業だと普通なことです。「お前の成長の為なんだからな」などと言われる人も多いです。

 海外だとマネジメントできない

この感覚のまま、海外でマネジメントすると大きな問題が発生します。

何も起こっていなくても、何もトラブルやエクストラな状況が発生していないにもかかわらず、仕事が滞っていたりする。仕事を頼んだのに遅々として進まない、などなどです。

 これは一重に「役割を明確にしていない」ことによる問題が大きいです。オペレーターにはオペレーターの、設備スタッフには設備の、それぞれの役割がきっちり決まっていることを望む人が多いです。そのため自分の仕事の線引きの外側の仕事には基本的に手を出しません。内容を知っていようが、このまま実施すると失敗するとわかっていてもです。また自分の仕事の範疇でないことは言われてもその場限りで何もしないことが多いです。そのため他人の仕事にも無関心ですし、情報を集めて根回しをして、といった感覚もありません。これを人のせいにするのは簡単ですが、日本人的な感覚でやってしまっていることが一因になってしまいます。

どうやって海外で仕事するのか

 相手の立場に立った仕事の回し方として「線引きの外の仕事をどうアレンジするか」が海外でのマネージメントには求められます。「外側の仕事を内側に入れていく作業」と「外側の仕事に影響を受けないようにしていく」ことです。 

1.線引きの外の仕事をどうアレンジするか

 まずなぜか業務が回っていない部分を調べて、「何を実施していないからうまくいかないのか」を考えるようにします。大抵は、一回切りの連絡しかしてなかったり、誰の仕事か明確になっていない部分をケースによってやったりやらなかったりしていることが原因です。

それがわかれば、誰がやるのかを決めて運用していく。そのとき大切なのが「その仕事を実施することによるメリットを明確にする」ことと「普遍的なルールに落とし込む」ことです。その仕事をすることにより部門の仕事が円滑に回り、それによって余分な仕事が減る、生産性が上がることをしっかりと説明することは必要不可欠です。基本的にマレーシアの人は言い訳がうまく、いさかいを避ける傾向にあります。なあなあにしてしまわないようなモチベーション作りは常に必要です。また同じ種類の仕事でも毎回頼む人が違うと結局できる人がやる、というような無責任なスタンスになってしまうので、人を決めることはもちろん、どこまでやるのかも決めてやる必要があります。

この辺を一定の層にしか言わないと「本部の人が面倒なことを言っている」だけで流されてしまいます。連絡ルートの流れもきっちり抑えることが大切です。

 

2.外側の仕事の影響を受けないようにしていく

 これは発展途上国あるあるですが発注したものが届かない、仕様が違う、すぐ壊れるなんてことは日常茶飯事です。そのため計画通りにいくことはほとんどありません。大切なのは、そういった不測の事態を不測の事態のままにしないということです。

 どういうことかというと、部品が壊れるのがわかっているのなら、予備をあらかじめ準備しておく、壊れたものを直す時間を作っておく。仮に計画が遅れても本体に影響が出ないようにフォローできる余裕をつくっておく、などです。

 ここで落とし穴ですが、あらかじめ余裕があることを示していると大体直前まで仕事をしません(この辺りが長年植民地として過ごしてきたときの知恵なんだと思いますが。。。)

 そのため「担当者はその日その日の仕事を確実に実施していくことを評価」することで短期的な業務の進捗を遅延がないように実施してもらう。そして毎日口うるさくチェックする、本当に大切なバッファは死守する、、、等です。特にマネージャーとして赴任する場合、日本とおんなじ感覚でスケジュールを組むと確実に破たんします。絶対にバッファを用意しましょう。その上で日本側、マレーシア側ともにバッファの死守を心がける。本当に必要なことやトラブルでバッファは大抵消えます。ちょっとした優先順位の変更や進捗遅延で食いつぶしていかないように細心の注意を払いましょう。

 そういった外堀の仕事をしておくことで、外乱の影響をだいぶ薄めることができます。そうなれば、真面目にコツコツやったことが着実に実になる恩恵を部署全体で受けれるようになります。日本だとこの辺りを根回しでフォローしていくことで、ベンダーの納期を制御したり他部署の仕事管理したり対応できますが、この根回しが基本下手なのであてにしてはいけません。根回しをしていなくてもできるよう周辺の準備を見ておきましょう。

 マレーシアで働く時の心構え

「日本だと気にしなくてもできるのに、マレーシアではできない」ってのはこのような「慣習の違いによるギャップ」が生んでいることが多いです。日本のマネージャー層は優秀な担当者に任せることで運用している部分が多いので、海外で仕事をするとき(特に発展途上国)では意識するようにしておきましょう。

 

ではでは!