たけとけたと片付かない部屋

製造技術の仕事や家事・育児、趣味について書きます。

工場×テレワークで見えてきた紙媒体コミュニケーションの弊害

どうも、たけとけたです。

数年前から騒がれていた働き方改革ですが、僕の会社はそこまでうまくいっていなかったので試行錯誤の悶々とした日々でした。

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そんな折にCOVID-19で強制的に働き方を変化させることを余儀なくされています。「よっしゃー!ピンチをチャンスに変えるぜ!」と意気込んでいたんですが、やっぱりピンチはピンチですね。大変です笑

 ということで、工場で働いている人にとって現在の状況はどういったものなのか?何がテレワークを妨げているのか考えてみました。

 工場勤務者の役割

 工場で働くと一口にいっても、いろんな仕事があります。僕の会社ではこんな感じで別れています。※1

実際には役割が重複していて、僕は4.5.6.を担当しています。

  1. 製造作業員:工場の機械を動かして生産活動をする人
  2. 設備保全:工場で使っている機械のメンテナンス・トラブル対応をする人
  3. 物流管理:製品を保管、出荷管理する人
  4. 処方技術:工場で作る製品のレシピを作成する人
  5. 生産技術:設備改善・拡張などを行う人
  6. 品質保証:製品検査を行う人・顧客からの品質苦情、問い合わせに対応する人
  7. 生産管理:原材料の発注〜在庫管理を担う人
  8. 受注管理:顧客とやりとりして、発注量の調整をおこなう人
  9. 監督者:マネージャー、いわゆる部長とか課長とかそういう人 

テレワークできない人;製造作業員、設備保全、物流管理

 いわゆる肉体労働者、または現物を前にして働くことが前提の人はテレワークはできません。1.製造作業員、2.設備保全、3.物流管理はその筆頭です。この人たちは工場で働かないと仕事になりません。

テレワークできる人

 4.処方技術や5.生産技術は社内システムがしっかりしていればデータのやりとりで事足りる仕事が多いため、テレワークと親和性が高いです。6.品質保証、7.生産管理、8.受注管理の業務も、社内システム次第と言えます。データのやり取りが頻繁ですのでネットワークインフラもないと仕事を回せないとのことでした。9.監督者は、工場で働く人がいる以上一定人数はいないといけないのかなという印象です。

テレワークできる人とできない人がいる

出社している人にとって、Web会議は面倒くさい

 このように業務によって最初からテレワークできる人とできない人がいます。ここが重要で、テレワークの障害になりやすいことがわかってきました。というのも、出社して働く人たちにとってはWeb会議やチャットでのやりとりは邪魔なんですよね。回線がつながってるかどうかなどいちいち気にしないといけないわけで。一度出社してしまえば、対面で会議した方が意思疎通も早いしチャットなんかするぐらいなら会って話してしまった方がいいわけです。出社というコストを払っているのに、Web会議やらチャットやらでコミュニケーションを取ることはせっかくの対面の恩恵を受けられなくなってしまう。せっかく出社しているのに、と思ってしまうわけです。

 またこれらの人たちはITツールを使いこなすモチベーションが高まらないので、消極的な参加に留まってしまうんですよね。

オフラインでのコミュニティはなくならない

 これも一定人数は出社し続けているが故に発生します。オンラインコミュニティにしか触れられないメンバーは常に情報に遅れが生じます。メールではああいう連絡だったけど、実は〜〜とかそういった話はどこにでもあることで、デジタルコミュニケーションの保管としてチャットなどのツールでなく対面での対話を使っているとニュアンスを拾えなくて苦労します。

工場は現場があってナンボ

 工場は生産活動を直接行う製造作業員やそれを支える設備保全、物流管理などの現場の方々に動いてもらわないと製品は生産できません。他業務の担当者たちも現場の人たちに一定の配慮をしながら動いているのが工場です。

こうなってくると担当者個人としては出社した方が損しない構図になってしまいます。

一番忖度するのは監督者

 そして一番作業員に忖度するのは監督者、マネージャーの人たちです。この人たちほど各担当者から見られている、かつ成果が定量化しづらい職業もありません。これまでのワークスタイルではウェットなコミュニケーションをメインにして関係を築いてきたためにこれができなくなることは死活問題です。ですので、自身の業務云々の前に監督者としての地位・立場を維持するために出社することにインセンティブ発生してしまいます。

 

製造作業員に忖度する結果として生まれる業務

紙媒体の業務体系

 オンラインで仕事をするためには紙媒体の電子化が必須ですが、電子化しても出社しないといけない製造作業者にはそのインセンティブはありません。今までの業務を紙媒体からやめることには少なからず抵抗があるものです。結果として紙媒体での業務が減りません。途中まで電子フローで最後に印刷して提出なんてものもありますね。

印鑑承認

 これは「監督者がしっかり出社していますよ」という証明に使われてしまっています。電子承認に全てしてしまうと、「出社せずに楽して〜」と見られてしまう危険性があるためです。まあ実際そんなことはありませんが笑

 また印鑑承認であれば、担当者が書類を持ってきてくれるためその時にコミュニケーションが取れる。監督者にとってのコミュニケーションツールとしての意味合いを持ってしまっています。(実際はスタンプラリーと揶揄されるものであるのですが、皮肉なことに承認することそれ自体が監督者の存在意義になってしまっています)

テレワーク本格導入にあたって

紙媒体の業務フローは管理しづらい

 紙媒体で書類をやりとりすると、何かあった時に監督者本人が調査することが難しいです。紙の書類を調査する時間や保管・管理するためのコストも一定かかります。もちろん紙媒体は馴染みのある使い勝手のいいツールですが、今後の管理方法を考えると紙媒体の業務を減少していく必要があります。ただし、その場合みなが恩恵を受けるわけではなく、出社前提のメンバーは不慣れ感の方が多いかもしれません。

ウェットなコミュニケーションを業務フローと分離

 承認などはそれ自体が印鑑承認のようなコミュニケーションツールとして機能してはいけません。あくまで業務提案内容を、会社組織が責任を持つという構図に限定すべきです。

 一方でウェットなコミュニケーションをどうやってとるのか?という課題が残ります。これをチャットやメールなどでフォローすればいいのですが、これ自体が面倒だという人もいます。(この一手間を嫌う年配の方は多いです)また製造作業員などはチャットツールに長けているわけではなく、結果として対面でのコミュニケーションが最適解になってしまいます。

鍵は印鑑承認廃止と紙ベースの業務廃止

 ただ製造作業員は印鑑承認を好んでいるわけではありません。わざわざ監督者に会うために持ち場を離れる必要があるし、承認作業に時間がかかって書類が変更直前にきて作業段取りが狂うなど困っているのが現状です。

 紙媒体の仕事:監督者そのほかの担当者が困る

 印鑑承認:製造作業員は困る

 この二つの不自由をターゲットに、工場に来ないといけない人たちと、そうでない人たちの双方にメリットがある形で業務の仕組みを変えていく必要があることが分かってきました。要点は下記2点です。

  • デジタルツールでのコミュニケーションを活発化(ドライ→ウェットに)
  • 紙媒体の排除による管理コスト低減

 これらの改善活動が長引く感染症対策・また今後のリスク管理に備えて必要ということですね。

出社しないといけない人としなくてもいい人の断絶を防ぐこと

 テレワークが進みづらい要因の一つとして出社しないといけない人の顔色を伺ってしまっていることがあります。ウェットな人間関係の上で仕事してきた人たちにとっては尚更です。

 ただこれまでの業務習慣に引っ張られて出社し続ければCOVID-19の感染拡大は防止できません。どうしたらデジタルツールを使ってウェットなコミュニケーションを維持するのかだけでなく、それが出社しなければいけない人たちにとってのメリットになるように仕組み化しないといけないんだなあと思います。

 

なかなか大変ですが、自分たちにできることを一つ一つやってやっていきましょう!

ではでは!

 

※1. この中には製造部門の業務に限定しているので、会社全体の運営をしている労務管理や人事、経理、営業などの業務は入れていません。