4月から自分のチームに新しいメンバーが加わりました。万年人不足の僕たちのチームにとっては願ってもない増援です。なんですが、その入ってくる後輩の評判があんまりよろしくない。なんでもコミュニケーションが苦手そうと。これはどうなるんだろうかと半分期待、半分不安でチームに迎え入れました。
そして3ヶ月が経ち、、、
最初はビクビクしていた後輩が、少しずつ生き生きしてきました。
コミュニケーションが苦手であることは分かってきましたが、活躍できそうな兆しがでてきました!
異動前のイメージ
異動前に聞いていたのは、
- コミュニケーションがとれない
- 声が小さい
- 暗い
といった反転して自分にも刺さりそうな内容でした。辛い。根暗オタクには世知辛い世の中。。。前にいたチームが製造員の3交代だったこともあり、交代業務は伝達ミス1つで重大トラブルに発展しかねないのでそういった評価を受けてしまうのは仕方なかったのかもしれません。本人も自己主張しないタイプであったので、何考えているのかわからないというレッテルを貼られていました。
コミュニケーションの難しさ
異動後から仕事してみると、たしかに一筋縄ではいきません。
説明を聞いたあとのリアクションが同じ
新しく覚える仕事が多いので説明することも多いんですが、説明を聞いたときのリアクションがほぼ同じです。淡々と「はい、はい。」と答える。相手の理解度がわからないので、説明側も不安になってくる。試しに「~について説明したけど、どういう風に理解した?」と聞くと、答えが出てこないこともあり、一つ一つ確認しないといけないんですよね。。。
思い込みで作業する
作業標準書を渡して説明していても、読み直してくれないので作業を間違えても気が付かない。また作業の意味を知ることより作業することを優先しているようで資料は出てくるけど条件は間違ってて使い物にならない。。。実験の条件値が間違っててデータ取り直しになったり、実験で使う試薬を間違えていたり。困るのが本人も自分の仕事内容を疑っていないので「こんなもんなんですかね?」ぐらいのトーンでデータを持ってくる。うっかり通してしまいそうになり、何回か炎上しかけました。あぶない。
勤務の報連相をしない
自分の仕事状況や、進捗をほとんど上司に申告してくれません。ほったらかしているといつまでも終わってなかったり、唐突に資料が出てきてチェックお願いしますみたいなことになります。上司に報告してくれないのが厄介で、「あいつ大丈夫か?」みたいな良からぬ疑惑を持たれてしまうんですよね。そのための説明や確認に手間取ってしまいます。後輩にもコミュニケーションに不安があるのか、余計な話はしたくないのか極力最小限しか伝えないのでなかなか話が進まないです。
一緒に働く中でやってみたこと
ほめるコミュニケーションをとる
後輩がコミュニケーション苦手そうだったので、仕上げてくれた仕事に対しては積極的にほめることにしました。
- 遅くまで実験してくれたら、「時間かけて実験してくれてありがとう」
- 資料を整理してくれたら 「わかりやすく表示してくれてありがとう」
- 壊れている棚を修理してくれたら「素早く対応してくれてありがとう」
などなど、とにかくポジティブにリアクションしてました。ミスもあるものの、そこはできるだけ冷静に説明することに努めて基本はやってくれてありがとう!のスタンスで接するようにしてます。オーバーリアクションで「ありがとう!助かった!」が口癖になってきました。
こうすると、少しずつ後輩からも質問が来るようになり「〜〜ってどういう意味ですか?」「これは〜〜のことですか?」など確認作業のコミュニケーションが増えてきた気がします。
ほめ方は、社会起業家の木下斉さんがオススメしていた「コーチングのプロが教える「ほめる」技術」を参考にしています。この本の中で出てくる「アクノレッジメント(存在承認)」を意識してほめることでストレスの少ないコミュニケーションにすることを目指しています。
失敗に対して寛容になる
後輩は細かいミス・単純なミスが多いのでどうしても指摘する機会が増えてしまいます。僕も面白くないし、本人にとってはもっと面白くないはすです。ついつい感情的になってしまうのですが、冷静に説明すると同時にミスは「しゃーないな」と思うようにしています。失敗に対して厳しくして、後輩が萎縮してしまうと悪循環に陥ってしまいそうだったからです。
ですので、「まあこの仕事でミスってもこの程度のダメージかな」と思いながら仕事を渡すようにしてみました。仕事を失敗した時のミスを見積もった上で、指示を出した後は自分の好きなようにしてもらいます。参考にしたのは、「自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書」です。
(第1章.「指示待ち人間はなぜ生まれるのか?」より)
- 私の考えを折に触れて伝える
- 後は自分で考えて行動してもらう
- 失敗(=私の考えとズレた処理)があっても「しょーがない」とし、改めて私の考えを伝えて次回から軌道修正してもらう
この3つの注意点を繰り返すだけで、私の考えを忖度しながらも、自分の頭で考える人ばかりになる。
〜〜(中略)〜〜
自分の頭で考えるスタッフになってもらうには、失敗を許容するゆとりを持ち、むしろ自分の頭で考えて失敗するリスクを採った勇気をたたえること。失敗に対してゆとりある態度を持てる社会になれば、指示待ち人間は、もしかしたらビックリするほど少なくなるのかもしれない。人はみな、最初から優秀なのではない、失敗を繰り返しながら能力を育てていくのだ、と考えた方がよいのかもしれない。
具体的な作業は山本五十六の名言に従い指導する
後輩が思い込みで作業してしまう時は、部分的に作業を覚えた時だということがわかってきました。手伝いながら作業してもらった様子をみて、いけそうかなと任せると間違ってしまうケースです。失敗に寛容にというものの、実験では危険な物質を扱うこともあり間違ったやり方で怪我することは避けないといけません。
ここは山本五十六の名言「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」のさせてみせの部分が大事です。作業を教えて終わりでなく、説明したところが理解できているかはしっかりチェックして安心させます。
後輩に自信が出てきた
こうやって仕事をしてもらっていると、少しずつ仕事の成果も出てきました。後輩もも当初のビクビクした感じがちょっとずつなくなってきて生き生きしてきたように感じます。
最近は「〜〜ですか?この条件でやったほうがいいので僕の方でやっておきますがいいですか?」なんて言葉が出るようになってきて、いい調子で変わってきたように感じます。こうなって来ると仕事の受け渡しが気持ちよくなってくるのでお互い楽しいですよね。
後輩は時間をかけて自分の考えを表現するタイプのようで、仕事を一通り任せると自分のペースでできるからか仕事のクオリティが上がってきました。本人にも自覚があるようで成功体験に繋がっているようで何よりです。
他人のリアクションに振り回されがち
また僕自身も学ばせてもらう部分が多々ありまして、説明の理解度を相手のリアクションでしか見てないんだなと今回痛感しました。リアクションがいいかどうかで理解度を測る癖があるので、どうしても元気がいいやつに騙されがちです。できます!やります!って元気にいうやつに騙されがちだなぁと。振り返るとそういうリアクションに騙されて手痛い失敗したこともあり、今回リアクションが薄い後輩を持ったことで自分のコミュニケーションの在り方の問題点にも気づくことができました。
今後の仕事が円滑に進むように、この調子で後輩には頑張って欲しいですね。
ではでは!
追記)コーチングの本は子育てにも重宝しています。