夢は世代を超えて継承される。
このストーリー展開が好きで、涙腺の緩みが止まりません。今まで意識したことはなかったのですが、このエントリを読んで自分がこの手の物語が刺さることに気づきました。
僕の夢は叶わない、ということについて
駒崎さんはNPO法人フローレンスの代表理事で、訪問型病児保育や待機児童問題解決のため「おうち保育園」などを始められた親子の問題解決を図る社会起業家です。保育に関する様々な課題に対してソーシャルアクションを起こすことで社会問題を事業で解決することをされています。僕も色々と本を読ませていただいて、子育てと仕事の両立についてや共働きに関する考え方をアップデートできたのはこの方のおかげと言っても過言ではありません。
そんなバリバリ第一線で活躍されている駒崎さんが「僕の夢は叶わない」という、その夢の大きさと理想と現実とのギャップに何度も挫かれそうになったこと、その生々しさが胸に刺さります。
【焦りと失望の日々を超えて】
僕はずっと焦っていた。
もう16年も日本の親子の課題を解決する社会事業に携っているのに、一向に社会課題は減らない。
子どもは2週間に1人、虐待で死に続け、ひとり親の半分は貧しいまま。
DVで3日に1人、妻が殺され、先進国で最も教育に国家予算がかけられていない。
バカげた状況は変わらず、自分は年を取り続けるだけ。
有識者会議の委員だの、なんとか賞だの、社会的な勲章だけはたくさん首からじゃらじゃらかかっているし、日常生活の中で買えないものが無くて困ることはない。でもそれが一体なんだってんだ。
若い頃は、お金もなく、モテなく、立ち上げたばかりの事業と組織の質も酷いもんだった。でも希望があった。きっと10年後、自分はこの問題を解決できているはずだ。世の中はもっともっと良くなっているはずだ、と。
しかし、今はそうではない。ひたすら自分の無力さと、そして自分の掌からこぼれ落ちていく、人生の残り時間。一体どうすれば、意義のある結果を残せるんだ。バカげた社会のありようを、ひっくり返せるんだ。ひょっとしたら自分は人生を間違ってしまったのではなかろうか。
一方で駒崎さんが読まれた「夢を叶えるゾウ4」から「夢は世代を超えて叶う」ことに関して言及されています。それはどういうことか?
夢は世代を超えて叶う
ウォルト・ディズニーはディズニーランドを作った後に、テーマパークを併設した未来都市のディズイーワールドを作ろうとしていた。相対性理論を発見したアインシュタインは、宇宙の統一理論を完成させようとしていた。エジソンが遺したノートには今後発明する予定だった大量のリストが乗っていた。
ですが、みんな夢を叶えられずに死んでいってしまいました。偉人でも叶わなかった夢はあったのです。
けれど、偉人たちが見た夢を、のちの世代の人々が共に見て、そして実弁に向けて努力が重ねられていく、ということはあります。ディズニーワールドは完成したし、GEではエジソンと同じように新たな発見により世の中を豊かにしようとしている。物理学者は宇宙の統一理論の発展を目指しています。
そうやって自分の見た夢が後世に受け継がれ、いつか夢が叶う時がくる。だから焦ることはない、次の世代につながるように思いを自分にできる形で体現し、思いを共にできる仲間に夢のバトンを渡すこと、と結んでいます。
「夢をかなえるゾウ4」も、夢を叶えるとは裏腹に個人では叶わない夢との向き合い方を描いていて、その奥深さに感嘆しました。
「夢を継承する」物語
夢を継承していくこの考え方は多くの作品に見られる者だと思いますが、最近の人気漫画「鬼滅の刃」もこの考え方を前面に出すストーリー展開です。
舞台は、大正日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで一変した。 唯一生き残ったが凶暴な鬼に変異した妹・禰豆子を元に戻す為、また家族を殺した鬼を討つ為、2人は旅立つ。鬼才が贈る、血風剣戟冒険譚!
作中に出てくる鬼という存在ですが、人が世の中への恨み・不満を体現させたものとして描かれています。人の世の不条理が鬼を生むという構造を暗に示しているんですよね。それに対する鬼滅隊(鬼を倒すために結成された秘密組織)の面々はある者は戦いで、ある者は寿命で命を落としながらも、脈々と鬼狩りの技術を継承・進化させていつの日か鬼をすべて滅することを願って戦い続けます。
不老不死の鬼(世の中の不条理)vs. 鬼滅隊(世の中を変えようと戦う人々)の構図です。不老不死の鬼をどうやって倒すか?その使命を世代を超えて成し遂げようとする展開に僕ものめりこんでしまいました。
というか堅苦しい話抜きにめっちゃ面白いのでぜひみんな流行りに乗って欲しい!アニメ第1期の19話の作画は神がかっていたので今度の映画もかなり楽しみです!
偉大でもなく、無力な自分のこと
話が逸れましたが、この手の物語に感動するのは自分の無力さを日々感じているからです。
僕は地方の工場勤務で男性社会の空気が強いです。共働きで子育ても担当していることで心無いことを言われることもあります。世の中に合わせて会社は綺麗事を打ち出してますが、在宅勤務すれば「仕事をちゃんとしているのか?」と疑われ、育休を取ろうとすれば「誰が代わりの仕事をするんだ?」と問われます。駒崎さんのように大層なことはしていませんが、自分なりに子育てのしやすい社会になればもっと世の中はよくなると信じて動いています。でも僕の行動ぐらいでは思いはほとんど伝わらないし、ちっぽけな組織1つ変えられません。
まあそれでも、自分の意思で、自分が正しいと思うことを小さくても1つずつ積み上げることで、仲間が1人でも増えてくれればそれでいいのかもしれません。凡人は凡人なりに自分の共感できる人を部分的に真似してやればいいのかなと。真似した部分がちょっとだけでも力になれればいいかなと思います。他の人が夢のために邁進していることを応援することで、大きな夢がいつか叶う日を信じて。
ではでは!