たけとけたと片付かない部屋

製造技術の仕事や家事・育児、趣味について書きます。

父親が育児参加してくれないなら、丸一日育児する機会を作って意識をアップデートしよう

 「夫にもっと育児に参加してほしいんだけど、どうしたらいいか?」と相談を受ける機会が増えました。日々のオムツ替えやお風呂、寝かしつけのようなことだけでなく、子どもの予防接種や保育園を休む際の病児保育の送りなどできる範囲で参加するようにしていることが珍しいらしく、「どうしてそんなに協力的なのか?」ということを度々聞かれます。

 僕も最初から積極的に育児参加していたわけではなく、少しずつ育児に詳しくなることでうまくできるようになりました。今回は普通にしているだけでは父親が育児に参加しやすい理由があることと、解決策として丸一日育児する機会を作ることの必要性についてついて説明します。

父親が育児に参加しづらい理由とは

勉強機会がない

 母親は子供がお腹の中にいる頃から、少しずつ育児について勉強します。助産師さんに教えてもらったり、妊娠期間中のトラブルを通じて赤ちゃんの生体について理解していきます。なので子どもが生まれた時には心の準備はもちろんのこと、育児に対する基本的な知識はインプットされています。もちろん誰にとっても初めての子育て、最初から一人前にできるわけではなく試行錯誤の連続ですよね。

 一方で父親はというと、妊娠期間中の育児に対する教育機会はほぼありません。妻と一緒に定期検診に言ってエコーを見たり、つわりがしんどいのを目の当たりにすることでイメージはできますが、その程度しか機会がないとも言えます。助産師さんなんて「ママはこの時期大変だから優しくしてあげてね」ぐらいしか教えてくれません。母親の方は日々の検診の中で、授乳や離乳食、乳児の特性の情報に触れる機会があります。

 このように、父親の方は受け身では育児に対する情報を受け取れません。子どもが産まれた時にはすでに母親と父親では育児に対する情報格差が広がっています。

「だったらパートナーに教えてもらえばいいのでは?」と思うかもしれませんが、子どもが産まれてからの母親はそんなに余裕がありません。聞こうにも機嫌が悪かったりするし、やり方が違うと怒られることもあります。母親の方は子どもの命を守っている意識から過敏になっていることもあります。要はとても聞きづらい。

 仕事なら新入社員になったつもりでやるべきなんですが、なかなかパートナーにはこれまでの関係性もあって気持ちが邪魔してしまったりもします。結果として「子どもはママの方がいいから」「パパは仕事を頑張ってるから」などと言い訳して育児にタッチしないようにしてしまいがちなんですよね。

職場に相談できる人がいない

 職場の年配男性の大多数は育児参加時間が短く経験を伝えられないことが挙げられます。次のグラフは6歳未満の子どもをもつ妻・夫の家事・育児時間のグラフになります。

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引用:イクメンライブラリー_ 各種データ

ikumen-project.mhlw.go.jp

 このグラフから、1996年には男性の家事・育児参加時間は平均38分でほとんどを女性が行ってきています。その世代が現在40代で中間管理職を勤めているケースが多く、上司が家事育児に積極的に参加する経験がそもそもないんですよね。なので、妻の妊娠報告などをすると「おめでとう!それじゃあ子どもが産まれたらお祝いに飲みに行くか!」みたいな訳のわからないことを言われたりする訳です。会社勤めをしている人であれば大部分を会社の人と過ごすわけで、人生の手本となりうる先輩から教えてもらうことができないことは結構なビハインドなんですよね。

一家の大黒柱としてのプレッシャーがある

 これまで父親が主体となって働いて稼ぎ生計を立てることが一般的でした。社会構造上男性の方が女性より稼ぎやすいためであるのですが、ここから父親に対して「働いてより多く稼ぐことが家庭のためになる・稼ぎ続けないといけない」という一家の大黒柱としてのプレッシャーがかかります。また周囲もそういった期待のかけ方をしてきます。僕も一人目の子どもが産まれた時は「もっと仕事頑張らないとな」とはっぱをかけられました。

 仕事をもっと頑張ろう!という気持ちにはなりますが、気が張ってしまうため仕事が終わって家に帰ってからは「母親が育児はやってくれよ」という気分になってしまいます。家庭より仕事優先となるため仕事以外の時間には育児をしてくれても、子どもが体調を崩した時に会社を休んで対応することはできなくなってしまう。突発で休んだところで会社をクビにならないまでも、印象が悪くなって今後に影響がでるんじゃないかとか変なことを考えてしまうんですよね。

父親が育児参加の必要性に気づく機会を作る

 これらはいずれも日本社会の構造上の問題であり、その男性本人だけの問題ではありません。父親は仕事優先、母親は育児優先とした方が男性にとって生きやすい世の中であるのが現状です。でもそれじゃあ母親に過大に負荷がかかる状況は変わらないですよね。そのためにできることは丸一日育児する機会を作って意識をアップデートすることです。

 仕事でもそうですが、断片的に作業を手伝うのと最初から最後まで一人で実施することは得られる経験値が全然違いますよね?これと同じことが育児にも当てはまります。母親から指示されてオムツ替えや子どもの相手をしているだけだと、経験値が少なく意識を変えることができません。

 一番のオススメは、「父親が育休をとって自分一人で一定期間家を切り盛りする」ことです。つるの剛士さんも、育休期間に自分一人で家庭を運営することで初めて育児の大変さだけでなく、そのスキルを身につけたそうです。

r25.jp

でも、だからこそ僕らは、育休という「家庭訓練」の期間をうまく使って、「自分ひとりで一定期間家を切り盛りする」ということがどういうことなのか、体験してみるべきだと思うんです。
一回やれば、絶対に見方が変わるから。

 この記事に書かれている、「意識をアップデートする」ことは非常に有効で、その機会を父親に与えることが必要です。育児支援策が功を奏して出生率が向上しているフランスでも産後2週間の期間で男性が育児参加することで基本的な経験をキャッチアップする仕組みがあります。

style.nikkei.com

 一定期間育休をとってもらうことが一番いいですが、職場の関係でそれはできないケースもあるかもしれません。(それはそれで問題なのですが)その場合でも、父親の休日の一日丸々家のことを全部やってもらうようにするなどして自分一人でする機会を作ることは可能だと思います。

 僕の場合は、育児休暇は取らなかったですが妻の職場復帰の際に2週間時短勤務をして子どもの保育園の送り迎えから家のことまでほぼ全て自分でやりました。この時に子どもが病気で休んでしまった時の対応も僕が主体でやったことで、「突発で仕事休むのはこんなに精神的に辛いのか」「病気で機嫌の悪い子供を抱えながら、料理作ったり洗濯するのきつい」など母親が感じるであろうことを短い期間でしたが経験できました。妻からもその2週間以降変わったと言われたので、僕自身の考え方にも変化があったと思います。

※体験談はこちら

www.taketoketa.com

 仕事と家庭の分担はそれぞれの家庭の事情があるかと思いますが、一度やってみると父親と子どもとの距離も縮まるのでいいことも多いです。父親が育児に積極的に参加してくれない場合は、ぜひ提案してみてください。

ではでは!