たけとけたと片付かない部屋

製造技術の仕事や家事・育児、趣味について書きます。

ジオウロスになった僕が仮面ライダージオウを1年間視聴して感じた「深く楽しむ面白さ」

 仮面ライダージオウが終わり、ゼロワンが始まってしまいましたね。ゼロワンも大変楽しみなんですが、ジオウロスになってしまいなんとも不安定な一週間を過ごしていました。

仮面ライダージオウ

 仮面ライダージオウにおけるタイムトラベルもの、ソウゴ、ゲイツ、ツクヨミ、ウォズと魅力的なキャラクターをはじめ各回に登場するレジェンドライダーによるお祭り感や、「アナザーライダー」という奇策で初手からメタ展開で作り上げた先の読めない展開でした。加えてジオウの「終わってしまったなぁ」感が強いのは、僕のシリーズの楽しみ方が今年一年変化したからだとも思います。

 すでにゼロワンが始まってしまったので今更なんですが、この1年間ありがとうということで仮面ライダージオウを「こうやって観て、すごく楽しかったんだよ」ってことを残しておこうと思います。

リアルタイム視聴→考察の流れがよかった

仮面ライダージオウをより楽しめた要因の一つは「ZI-O signal」です。

www.jigowatt121.com

 結騎了さんのブログは以前から愛読していました。その流れで、「あぁ、仮面ライダージオウで連載なんてするんだ、すごいなぁ」てな感じで読んでいたんですが、考察量がすごいんですね。どの週も当たり前のように5000字オーバーでやってくる。内容もストーリーとレジェンドライダーの設定の組み合わせ方や、アクションシーンの考察、今後の設定予想を交えながら書かれているブログは毎週新鮮でした。平成ライダーは所々お休みして見ていなかったので情報の補完にもなり、アギト回や電王回は「なるほどなぁ」と唸ったものでした。

 ジオウをリアルタイムで鑑賞する→あーだこーだと1人で考察する→ZI-O signalを読んで、そういうこともあるのか、と理解を深める

 というサイクルを繰り返していたので、毎週内容が濃かったです。

 また「なんでこの情報量を毎週書けるのだろう?」とおもって読んでいると、「どうやら公式から情報を仕入れているらしい」と気づきました。(ふつうに本人も明言されてましたが)

公式HPでも次回のレジェンドキャスト紹介や、シナリオに関する公式見解等々、解説など色々載って情報満載でしたね。ほかにも「ジオウ補完計画」を欠かさずチェックされていたり、スピンオフも観て周辺情報を取りにいっていて、多くの情報量をブログを書きながら思考を整理して、考えをまとめているんだなあと。僕はTVの毎週30分しかこれまで楽しんでなかったんですが、それ以外の要素から得る情報でこれまで以上に楽しめました。そういった新しい楽しみ方ができたのが仮面ライダージオウだったなあと思います。

 また毎週更新ということで、「杉原監督の演出が〜〜」とか「井上脚本が〜〜」とかそういった視点で観ているのか、と勉強になることも多々ありました。毎週毎週そこまで観てるのかよ、文脈好きすぎではと思ってしまいましたよね。笑

 途中からは「ヒーローズ・ログ」も追うことで、違う視点も入れることができてエモい部分が違うんだなあと面白く読ませていただきました。

exloyks.hatenablog.comちなみに、僕も真似してシナリオ予想とかしてみたんですが、如何せんディケイド未視聴がよくなかったですね。ディエンドの能力モロ被りで書いてて知識のなさを露呈していただけでした、お恥ずかしい。笑

www.taketoketa.com

解釈の違いを楽しめた

 ジオウのシナリオは常にレジェンドライダーが出てくる分、賛否両論になりやすかったと思います。やっぱり思い入れのあるライダーの描き方が自分たちの解釈と違うと妙にセンチになって傷ついてしまいそうになる。「なんかいける気がする」じゃねえよふざけんな式ちゃんと書けとビルド回では思ったものです。(2話目にしてそう思っていたので最初の方はだいぶ展開にビビってたと思う、多分)

その意味ではマンホール回は色々考えるところが多くて面白かったですね。

「ZI-O signal」と並んで愛読していたのがヒーローズ・ログでした。この方の井上脚本に対する理解とそれ故に物語に乗れなかったところが興味深かったです。

exloyks.hatenablog.com

 僕は仮面ライダーキバ未視聴なので、「マンホール最強説www」とかネタにしていただけなんですが、思い入れのあるレジェンドライダー回でそれされたら消化できないんだろうなあってことを改めて感じた回でした。

 公式でも「問題作」と謳っているので、大人の都合も理解しつつ、攻めた内容にしたのは間違いないかと。

皆さんが思い出すのは、おそらくこの35・36話になると思います。
代表作とは言いません。むしろ異色作。というか問題作。
それも、歴史の風雪に耐えてしまう級の……。

仮面ライダー公式ポータルサイト:仮面ライダーWEBより

 大人の愛というテーマに対して朝9時にできる最大限の演出で僕個人としてはその辺りは飲み込めたかなあと。ただギンガファイナリーはきつかった。最強の力の割に倒し方が雑なんだよね。曇りになると太陽が陰るので惑星の力が使えないから、「これってキバの必殺技で真っ暗にしたらエネルギーが軽減して、キバアーマーとアナザーキバの力を両方使って倒すとか激アツ展開あるんじゃ?」なんてワクワクしてたのであっさりしすぎていて残念でしたね。

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 まあ何が言いたいかって、普段まとめサイトでみるよりも個人ブログで感想を追う方が思考の流れがわかって、自分はどう感じたかを言語化しやすくなったんですよね。読んでなるほど〜と思う以上のものを得られるので、すごく楽しかったです。

ジオウにおける時間の多様性

 最終回を観てしっくりきたんですが、この一年間ひたすら「時間とはなにか?」ってことにいろんな角度から問題提起してそれに対する回答を繰り返してきたのがジオウなんだ、というのが僕の解釈です。

 設定は「常盤ソウゴは王様になりたいが、将来最悪の魔王になることが運命付けられている」という現在と未来を繋ぐところから始まってます。そこからレジェンドライダーの力を獲得していく、過去の教訓を得る第一期、未来の可能性を探る第二期、過去から現代へのピースを得る第三期、未来を選ぶ第四期とその時々で時間の切り取り方を変えて物語を展開していく。

 このような大きな枠組みでの時間だけでなくて、時間の感じ方や捉え方についても言及しているところが興味深かったです。

 僕の好きな28話はそういう意味では「時間稼ぎ」なんですよね。

www.kamen-rider-official.com

 27話でジオウとゲイツが決闘することが事実上決定してしまう。そして28話ではジオウとゲイツがいつ決闘するの?決闘しちゃうの?という軸で物語が進みます。ところがジオウとゲイツは説得されるわけではなく、ひたすら時間稼ぎの妨害に合う。おじさんのソウゴとのやりとりや、ウォズによる足止め、アナザージオウの私怨によるバトルなどなどあるんですが、結局これらが彼らの決闘を止めたかといえばそうではない。最終的にツクヨミが早まったことをしていない(していなさそう)というところだけで決闘以外の道が開かれていく。。。

 重大な局面において決断するべき時に決断することは勇気あるものとして賞賛されます。この話だと決断しているのに実行を先延ばしにするシナリオになっていて。まあダサいわけです。でもそれは納得いっていないことに対して、最後まで納得せずに進まなかった結果なんですよね。割り切れば楽になれることを、割り切らないという決断をするまでの道のりとして、こんなにダサくて美しい話はないわけですよ。二人とも諦めなかったからこそ最後に違う道が見えた。物語の積み上げも合間って最後の笑い合うシーンは涙が止まりませんでした。

 冬の映画は過去に感じた時間を現在を生きる僕らがどう取り扱うのか?ってところに言及していたし、夏映画ではイマが繋がって歴史になるんだから、綺麗な話になるわけがない、そのときそのときのイマを精一杯生きるしかないんだ、と歴史に対する仮面ライダーなりのアンサーを出しています。この一年間のシナリオで平成ライダーを総括しようとすることすなわち平成という時間を総括しようとするなかで、時間に対する解釈がふんだんに盛り込まれていて面白かったですね。

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 時計をモチーフにした仮面ライダーとしたところから全ては始まっていて、平成ライダーの一作品がが平成ライダーシリーズの歴史を語るという、自己矛盾を孕んだライダーであり非常にチャレンジングだったなと改めて思います。仮面ライダーディケイドが平成ライダーをライブラリ化して横のつながりを与えたことに対して、仮面ライダージオウは一つの物語にまとめて一冊の本にして縦のつながりを与えようとしたんだなあと。ディアゴスティーニみたいに毎週見ると平成ライダー全体がなんとなくわかる仕上がりになってましたね。ディアゴスティーニ買ったことないけど。

深く楽しむ面白さ

 兎に角仮面ライダージオウは様々な議論が巻き起こる攻め方をしていて、なおかつ多少反論されたぐらいでは折れない強度も持っている怪作だったと思います。もちろんこれは仮面ライダージオウ単体というより、平成ライダーが繋いできたバトンの重みがあってこそですね。

 その懐深い作品にああだこうだ言いながらたくさん楽しませてもらったなあというのが一番の感想です。僕は割とストーリー重視で作品を見ることが多くて、ストーリーの内容さえわかればいいやって時もあって。時間ないときはアニメとかはほぼ作業BGMとしていたり、ドラマは隔回で観て前後回のストーリーを予想する楽しみ方をする邪道なことはしたことがあるのですが、今回のように深く周辺知識を得ながら長期スパンで楽しんだのは初めてだったかもしれません。

 ほんと、作品を楽しむのにも時間だけでなくて楽しみ方のスキルも必要なんですね。楽しみ方のスキルがあることでこんなにも楽しくなるんだと感じることができました。沼に飛び込んでしまった気もしなくもないですが。

 そんなこんなで、令和最初の仮面ライダー、仮面ライダーゼロワンも始まったことですし、ジオウロスもそこそこに次に行けたらいいのかなあと。冬映画の共演が一体どうなるのかは今から楽しみですね。ジオウが絡む以上メタ展開は避けられない中、どうゼロワンと合わせるのかな。

www.tv-asahi.co.jp

 仮面ライダーのおかげで「平成よかったなあ、令和ようこそ」って感じになってるのはすでに感覚が狂わされている証拠だと思う。時計の針が一周したからといって、元に戻るわけじゃない、一歩一歩前に進んでいるから、きっとこの先も楽しいはずですね。

ではでは!

 

追記)仮面ライダービルドに関してはこんな記事書いてます

www.taketoketa.com

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